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人気ランキング : 29,959位
定価 : ¥ 720
販売元 : 講談社
発売日 : 1999-08 |
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失われていくものたち |
小川洋子さんの小説世界は、どれもとても変わったものです。この物語では、ひとつずつものが消滅していきます。たとえば小説、声、など。あらゆるものが、次々と取りさらわれていき、やがて人々の記憶からもそれらのものは消滅します。しかし、その中にも忘れる事ができない人たちもいます。彼らは危険人物とみなされ逮捕されてしまうのです。主人公は忘れることができない男性に恋し、彼をかくまいますが、やがて、自分自身の体の一部も失い始めます。物語は、しずかに、そして大きな消失感をともなって進んでいきます。小川さんの文章には、身体感覚がとても鮮明に描かれていて、それでいて、限りなく透明です。
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失うことの切なさ |
色々なものが唐突に消えていく島を舞台にした作品。
鳥が消え、帽子が消え、フェリーが消え、
虫食いのように、あいていく穴を見つめながら、
何かを失ったという記憶も失いながら生き続ける人々。
不安定で、はかなく、切ない、美しい世界の物語。
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冷たく、静かに、そして密やかに |
次々とあらゆるものが、ひっそりと、静かに失われていく孤島。この島の中では失うことが必然であり、そうでないものは異常である。
人、物、体の一部... 物を失うことが当然とされ、失わない者達は「記憶狩り」という秘密警察に排除されていく。
何故?といった私の疑問を置き去りに物語は進んでいく。答えらしいものは描かれてはいない。唯々すべては失われてゆく。冷たく、静かに、そして密やかに。
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遠くへ逝ってしまったものもの |
一気に読んでしまってから、こっち(現実)の世界に意識が戻ってくるまで、時間がかかりました。
文章の良し悪しはよく分からないのですが、細かい描写やそれらから受ける印象が、独特の一個の世界をこの本の中に作り上げていきます。
ただ、小説を読むときって読みながら「画」を想像しながら読むのですが、
なんとなく日本とか西洋とかそういう現実の世界とはまったくべつの(次元?っていうの?)話と思って読んでいたのに、
いきなり「和室」とか「畳」が出てくるので、「日本だったのか・・・・!」と思いました。
結局、ものすごく論理的な人や現実的な人は気に入らないと思います。
日々常々「現実には起こらないこと」など空想しているような、幻想的な人はとても気に入ると思います。
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無性に哀しい物語 |
小川洋子さんの作風は、物語を「紡ぎ出す」という表現がぴったりだと思います。
この作品も、小川さんらしい透明感や美しさに溢れていて、読み出すと一気に引き込まれる不思議な世界でした。
淡々と描き出される日常や、おじいさんとの交流には心温まり、まさに小川さんの魅力が満載・・・
その一方で、あまりにも報われない喪失、哀しみに満ちた世界観はこれまたまさに小川さんの魅力・・・
あ〜いい作品だったなぁとしみじみ思う一方、読まなきゃよかったとも思う作品でした。
哀しい・・・